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リコリスと日々

日記用ブログです。ネタバレなどは発売日から解禁中。

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ラタトスクの話

ラタトスクの外伝上巻読み終えました。
ゼクスいい奴だな……(;ω;)
アリスの気持ちもわからなくはない、というか、心理的におかしくはないと思います。
ゼクスがアリスのそばを離れないでくれて良かった……!

ということで、本編のノベライズ最終巻を読んだ時に書いたと思われるデクスとアリスの話が出てきたので載せてみる。
本編その後で、デクス×アリスです。
妄想且つ捏造です。
勢いで出来てます。

OKな方はどうぞ。
 


とてもとても長い道だった。周りには何もなく、ただ道が続いているだけだった。
ここは何処で、道は何処へ続くのか。アリスにはそれすらもわからない。気付いたらここにいた、それだけが彼女の唯一認識している現実だった。
せめてもの救いは一本道であることか。これが二つ、三つと枝分かれしていたら、どの道を行ったらいいかわからない。
――いや、それはないだろう。アリスは心の内で否定した。
仮令道が幾つあったとしても、決して迷いはしない。アリスには初めから進むべき方向がわかっていたからだ。この不可思議な道に足を乗せた瞬間から、引力めいた力を彼方から感じた。先を行く彼の存在を、確かに感じ取った。
耳で聞くことの出来ない無音の声が、辿りついた自分を呼んでいるのがわかる。
だから迷わず走った。走り続けた。
身体が軽く感じられることも手伝って、何処までも駆けていける気がする。なのに、心はもっと速くと叫んで仕方なかった。
早く行かなくては。彼の元に。
(何でこんなに、遠いの)
速く、もっと速く。会いたい。寂しい。一人は、嫌だ。
息を切らしながらも足を止めたりはしない。果てない道の向こうへと、絶えず足を前に出す。
走って、走って、走り続けて。
そうして漸く正面に彼の背中を見つけた時、堪えていた涙が宙を舞った。
「デクスッ!」
それは呼びたくて呼びたくて、仕方のなかった名前。やっと呼ぶことが出来た瞬間、長い間切望していた願いが叶ったかのような充足感があった。
「ア、アリスちゃん?」
振り返った彼に、最後の一歩まで速度を緩めずに走り寄り、そのまま抱きついた。少々勢いがつきすぎてデクスがよろめいたが知ったことではない。これくらい、先に行ってしまった罰として受け取ってほしい。
足を止めた途端、それまでは気にもならなかった呼吸の苦しさがどっと来た。
どれだけ走ったのか。もしかしたらほんの僅かな時間だったかもしれないが、アリスには何時間にも感じられてならなかった。
だがそれが数分でも数時間でも、もう関係ない。アリスは辿り着いたのだから。
「アリスちゃん、大丈夫?!」
過剰に心配してくる彼に、出ない声の代わりに何度も頷いて意思表示をする。何度も深呼吸をして、呼吸が落ち着いてから、涙の滲んだ瞳で彼を見上げた。
デクスの顔が何処となく悲しげに歪んで見えるのは、きっとアリスがここにいることの意味を理解しているからだろう。
だがアリスは生きられずともよかった。彼と、二人でいられるなら。
「―――っバカ、」
言おうと思っていた言葉はたくさんあった。ありがとうとか、好きだとか、綺麗な言葉を言いたかった。なのに、顔を見たら、嬉しすぎて全て失ってしまって、代わりにそんなことしか言えなかった。
「バカ……どうして、置いて行くのよ……」
けれど、一言口にしてしまえば、想いは堰を切ったように溢れだしてくる。形を得なかった想いも自然と言葉に変わる。
「いつだって一緒に来てくれたじゃない、なのにどうして、置いて行くのっ……」
ぼろぼろと涙が零れ落ちる。彼を永遠に失ったのだと気付いた瞬間の哀しみが、鮮明に胸に蘇った。
「……ごめん、」
ぎゅっと背に腕を回された所為で、より近くなった温もりに、これまで心の底に自分でも忘れてしまうほど深く眠らせていた気持ちを全て吐き出す。
「それも、最後の最後にあんなの……反則だって……デクスの癖に! かっこいいとか思わせて、その癖何にも言わせてくれないなんて、ずるい、そんなの……」
「アリスちゃん、それって……」
「―――ホントは、ホントに、好き、だったんだから」
なのに勝手にいってしまうなんてずるい。
涙に濡れた睫毛を伏せながら、恨み事を重ねた。
降ってくるのはやはり謝罪だ。ごめん、短い響きは、さっきよりも嬉しそうだった。
「ごめんで済むわけないじゃない……バカ、ホントにバカ」
それでも、そんな彼が好きだった。
そんな彼に、傍にいて欲しい。
仮令この先『アリス』は消えてしまうのだとしても。別の誰かに生まれ変わるのだとしても。
傍にいてほしい。
それくらい好きだった。それくらい――好きなのだ。
だから、許してあげよう。
アリスはそっと腕を解いて、背伸びをして目線の高さを合わせるとそっと唇に口付けた。



最後私が力尽きた感がありますすいません。
今回は違いますが、転生ネタは大好きです。生まれ変わったら幸せになれますように!
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