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リコリスと日々

日記用ブログです。ネタバレなどは発売日から解禁中。

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タイバニ小話

↓で書いたローズの話を突発で書いたので、ユーストリーム放送前に置いておきます。
因みに今週はユーストリーム見られないのでバンダイの配信待ちです。MX?見られなくなったよ地デジ化の馬鹿!\(^O^)/

×××

とても疲れた一日だった。
朝目が覚めて、教科書を鞄に詰めて、何か忘れ物をしたような気がしながらも学校に行って、帰り道でヒーローの召集がかかって、指名手配犯を日が暮れるまで追い掛けて、それでも捕まえられなかった。そんな一日だった。
結局朝の忘れ物は思い出せないし、ヒーローとしてもうまく行かないしで、もやもやとした重たい気持ちのまま私はベッドに潜った。

その夜、私は夢を見た。


そこはシュテルンビルトの街中だった。
だけど普段道を埋め尽くしている群衆は何処にもいない。
ただ一人だけが私の前に立っていた。
頭のてっぺんから爪先まで、寒色に支配された印象のヒーロー、ブルーローズがそこにいた。

「馬鹿」

そして視線が合うや否や、ブルーローズは私に言った。

「忘れたらダメじゃない」

何のこと、と聞きたかった。しかし口にするより先に、ブルーローズが私に近づいて、指先で額を小突いた。

「あんなに救われたのに。あんなに好きだったのに。あの人は今もちゃんと生きてるのに」

なのにあんたはどうして忘れているの。
彼女の瞳がゆらりと揺れる。

「忘れてるって、何を?私は何も、」
「忘れてるわ。でも、忘れてるだけ」

ブルーローズは、今度は私の左胸……心臓を指した。

「消えてはいない。『それ』は全部、あんたの中にあるんだから」

だから、思い出してよ。
涙の膜に覆われた、私と同じ色をした瞳が、私の奥深くを覗き込む。
意識の底、心臓の奥。
沈むように溶けるように青色が滑り込んでくる。

「あたしの恋を、なかったことになんかさせないで」

瞬間、私の奥で色が弾けた。
それが夢の終わりだった。


ぱちりと瞼を開ける。次の瞬間、視界は涙で滲んだ。
ああ、そうだ。何で忘れていたのだ。あの妙な忘失感はこれだったのだと今初めて気が付いた。

(ワイルドタイガー、)

私たちと同じシュテルンビルトを護る者。お節介で鈍感で不器用な、だけど優しい私たちのヒーロー。
私を救ってくれた人。私が恋をした人。

(忘れていてごめんなさい)

ぽろぽろと涙が落ちる。それは忘却に対する罪悪感から生まれるものであり、同時に今の彼の立場に対するものでもあった。

(あなたは誰よりヒーローなのに)

馬鹿みたいに真っ直ぐな彼が、悪人だって殺さない彼が、無辜の民を殺すものか。
世界は誰に騙されているの。私は何に騙されていたの。
この優しくない世界から、どうにか彼は救われないの。

(私は彼を救いたいのに)

どうしたらいいのかわからない。何と戦ったらいいのかわからない。
明けない夜に直面した子どものように、私はただただ泣くことしかできなかった。

×××

皆が虎徹のことを思い出して欲しい。
あとマーベリックさんは体育館裏に集合すること。
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