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リコリスと日々

日記用ブログです。ネタバレなどは発売日から解禁中。

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どうしてこうなったかわからないような小ネタ

隙間時間になんか書こうと思ったら、久しぶりすぎて思うように書けなかったので、気楽に書けそうな小ネタでリハビリ。
内容的にその場のノリでやったほうがよさそうだったのでばっと書いたものです。
もしかしたら校正して他の小ネタとまとめるかもしれないけど、当面はこんな感じで。

※Fate/Zeroのよくわからない現代パラレル
※龍之介からグロテスク要素はログアウトしました(全般的にうちでの彼はそんな感じです)
※ウェイバーと龍之介が同じ大学に通ってる知り合い
※そんな具合に、全体的に「誰だお前ら」感しかない
※やまもオチも意味もない
※基本的に自由にやってる

了解した!って方は続きからどうぞ。


雨生龍之介は無自覚に人を殺める。
本人にしてみればただ趣味の行動でしかなく、彼のしていることについて聞いてみれば「これはアートだよ!」と何処かむくれたように言い返されるばかりだ。
だけどその実態は人に害を為すものでしかない。彼の趣味はあまりに危険すぎる。
そんなことを、僕ことウェイバー・ベルベットは考えた。
というのも、今目の前で行われている『それ』を実際に目にして、やがてこちらに差し出されるであろう彼の『作品』が容易に想像できたからだ。

「できた!」

まるで子どものようにはしゃいだ声をあげて、件の男はこちらを振り返る。
その手には、彼が僕に見せたいと言った趣味の産物。

「昨日考えた新作なんだけどどうかな?」

ことん、と目の前に置かれたそれに、僕は思わず目をそらしたくなる。というよりこの場から逃げ出したくなる。
なのに作り手は満面の笑顔で、「普段は旦那に見てもらうんだけどさ、今日は特別だよ」なんて言うから、何処か無下にし難くて腹立たしい。
逃げたい気持ちと変な罪悪感との間で戦いながら、僕は漸く言葉を絞り出した。

「……これ、何?」
「え? マドレーヌだよ」

何言ってんの? とでも言いたそうな調子だったが、それはこちらの台詞だった。

(有り得ない!)

僕に限らず、多分大体の人間は『マドレーヌ』という名前から、狐色に焼きあげられた、バターの香る菓子を想像すると思う。
だけど今僕の前に置かれているこれは何だ。
色はおよそ食べ物らしからぬ黒。それも焦げた色ではない。
例えるなら、パレットの上で色を混ぜ過ぎた結果として生まれてくるあの色だ。よく見ると混ざりきらなかったらしい青色(これも食べ物としてはどうかと思う色だ)が見え隠れしている。
そもそも形が四角いとはどういうわけなのだろう。
もしかしてこれは暗黒物質か何かで、学会に持っていったら評価されるんじゃないだろうかとすら思えてくる。それくらいに食品離れした色形であった。味は知りたくもない。
食べてみれば味は良いのかもしれないが、キッチンに置かれた材料の名残――砂糖に小麦粉、卵はいいとして、カレー粉や麻婆豆腐の元、青いケーキなどなどおよそ菓子作りとは無関係なものもある――を見れば、味も押して測るべし、だ。

「…………」

僕はマドレーヌ(ただし作り手の自称)を一瞥し、それからキッチンを片付ける男の背に視線を向けた。
彼の名前は雨生龍之介。僕と同じ大学の、確か芸術科?に属している、二つ上の先輩だ。二つ前の季節にキャンパスで出会って以来、何故か縁がある。そうこうしているうちにどういうわけか仲良くなったと彼が思ってしまい、友達認定を受けた。
そしてある日「俺さー、友達を家に呼ぶっていうの、やってみたかったんだよね」なんて言い出した。僕としては普段から変人と思っている彼の家は魔窟としか思えなくて、謹んでお断りしたいのだが、何度も頼まれては行かざるをえない。子どもらしい言動や行動の所為で、きつい態度が悪いように思えてくるのだから、まったく性質の悪い男である。
以上が今、僕がここに招かれている理由である。
最初はそんな風に思っていたのだが、実際家に入ってみると、何処にでもあるような普通のアパートで、強いて言えば画材が散乱している辺りが芸術科の学生らしいというくらいだった。
僕としてはもっと理解不能なオブジェとか、用途不明の家具とかがあるのかと思っていたから拍子抜けである。それですっかり安心していたのだが、その後に彼が茶菓子として作り始めた物体が僕の安堵を粉々に打ち砕いた。
曰く、彼の趣味は料理全般、特に女性や子どもの好きそうな菓子作りが好きらしい。
これまでも創作料理の考案をしてきたらしいが、最近はある人物(彼は旦那と呼んでいるが会ったことはない)の影響でさらに輪をかけて楽しくなってきたらしい。
その結果が眼前のこれかと思うと、何て事をしてくれたのだと、『旦那』に文句を言いたくなってくる。
しかし今はそんなことをしている場合ではない。

(これを、僕に、どうしろと)

料理が好きなことは聞いていたが、料理の過程を見て初めて危険を感じた。
これは駄目だ。食べたら命があるかわからない。いや、肉体的に死ななくとも、精神的に死んでしまう。完成品を見たらさらに危機感は高まった。
彼は無自覚に人を殺めるのだ、と思った。

「……あのさ、」

ごめん、ちょっと時間が。
適当な言い訳をして帰ろう。意を決して切り出したら、「あ、忘れてた」と彼が振り返った。
その手にはナイフとフォーク。綺麗に磨かれた銀のカトラリーが、安い蛍光灯に光って恐ろしく見えた。

「ごめん、食器欲しかったよね?」

はい、とうんざりするくらいにこやかに、銀食器が差し出される。

「遠慮しないでね」








拝啓、僕の同居人へ。
帰れなかったらごめんなさい。
帰れたなら、美味しいものが食べたいです。

 


メシマズ的な意味で殺人的な話。
法に触れることはしておりません。
彼を平和な世界に放り込むにはこれしかなかった。
反省はしている。後悔はしていない。楽しかった。
イギリス出身のウェイバーにメシマズとか言われたくないとかはなしね!
でもイギリスそんなにご飯まずいわけでもないらしいよ!
ウェイバーの同居人はライダーです。

そういえば発音的に本来は名前ウェイバーじゃなくてウエイバーなのかな?
わからなかったので前者で書きました。

 

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