リコリスと日々
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薄桜鬼詰め合わせ1(3)
- 2010/11/28 (Sun)
- 小話 |
- CM(0) |
- Edit |
- ▲Top
※山南×千鶴
×というか+というか→というか、よくわからない距離感
※何かのラストシーンっぽい話
※舞台設定的に原作準拠だとよくわからなくなるので、パラレル
※山南さんがいい人。羅刹だけど性格が昔のまま。
よろしければどうぞ。
「どこで間違ったのでしょうね」
泣きそうな声が、忘れられかけた波止場に響いた。
寂しげに点る橙の火が彼の背中側にあるせいで、どんな顔をしているのかよく見えない。
いつものように笑っているのだろうか。
こんなときだから、泣いているのだろうか。
「どうして――こうなってしまったのでしょう」
す、と視線が動いた。私もつられて同じ方向――降りてきた階段を見やった。
音は聞こえないけれど、上では確かに戦火が広がっている。
私たちの仲間が今もそこで戦っている。
どうしてその戦が始まってしまったのか、説明されればわかるけれど、その必然性はわからない。
誰がいけなかったのか。何がおかしかったのか。誤りの所在は分からない。
けれど、
「そんな……誰も、何も間違ってなんか、いないと思います」
誰も皆、全力で生きている。信じたものを守りたくて、信じるものを疑いたくなくて、掲げた信念のもとに生きているのだと思う。
そして選択をし、結果が今だ。
戦火に見舞われた今を肯定したくはないけれど、それぞれの選択が間違いだとは思えなかった。
「……いいえ、間違っていますよ」
「……」
「だって、私は貴方にまたそんな悲しい顔をさせてしまった」
戦を避けることも。
居場所を守り抜くことも。
何も、できなかった。
波止場に響く言葉が痛い。
「私はここまでしか傍に居られませんが――どうか、生き延びてください」
「山南さん、」
「お元気で――雪村君」
私を乗せた小舟を繋いでいた縄が外れる。
すり抜けた手を掴む前に、思い切り舟が押された。
「待って下さい!」
一人だけ逃げ出すなんてできるものか。
慌てて桟橋に戻ろうと立ち上がる。しかし元々軽い舟は不安定で、たったそれだけの動作で激しく揺れた。
水中に落ちないよう、反射的にしゃがみこむ。
そうしている間に、流れやすい舟は桟橋から離れて流れに捕まった。
そのまま潮流れに沿って陸地から離れていく。
波止場の灯りが小さくなる。
桟橋に立つその人が、いつものように優しく、優しく笑ってくれた。
ほろりと涙が頬に落ちる。
私を見送るその人の笑顔が、滲んで消えた。
(BGM:アンチクロロベンゼン)
つい出来心で。何でこの人攻略できないん?(・ω・`)
何年も前に別ジャンルでやろうと思った話から舞台だけ引っ張ってきてます。中身は割合別。
舞台設定は本編準拠でもできそうだと思ったけどやっぱりパラレルでした。場所何処だこれって話。状況もどんなだろうって話ですね。
とりあえず千鶴ちゃんを逃がす話。かなりご都合主義。
アンチクロロベンゼンは何か雰囲気が気に入って書きやすかった。
動画サイトで、本家から歌ってみたまで幅広く聞いてみました。
カラオケ入るらしいのでいつか行ってきます。
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